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一般・消化器外科上部消化管班は、一つのチームで食道疾患と胃疾患の診療にあたっております。食道と胃は互いに隣接する臓器であり、食道がん、胃がん、胃食道逆流症など多くの疾患の診断・治療において、互いの相互作用への理解は不可欠です。さらにその真骨頂は、昨今注目されている食道と胃の境界領域に発生する食道胃接合部がんにおいて発揮されます。私たちは、手術所見や術前術後治療の経過に応じて、それぞれの患者さんに最適な治療を臨機応変に提供できる体制を構築しております。
また、一人ひとりの患者さんの病状に応じた「個別化治療」の推進にも注力しております。手術治療のみならず、薬物療法、放射線治療、内視鏡治療を専門とする診療チームから構成される「クラスター診療」を基本とし、手術と非手術治療を広く考慮しながら、多角的な診療を展開しております。
あわせて私たちは、現在の治療成績のさらなる向上と、治療による患者さんへの負担軽減を両立すべく尽力して参りました。1990年代より一丸となって取り組んできた「早期胃がんに対するセンチネルリンパ節を用いた個別化縮小手術」は、先進医療として多くの患者さんに提供し、2026年現在、その成果が明らかとなりつつあります。2018年に保険適用となったロボット支援手術についても、食道がん・胃がん共に安全な導入を経て、現在は日々多くの患者さんに提供するに至っております。さらに最近では、人工知能(AI)を用いた手術支援機器の開発や、血液中の腫瘍由来DNAにより術後再発を鋭敏に予測する手法の臨床実装(2024年より先進医療Aとして実施中)など、最新の技術をいち早く患者さんに届けるべく研究を積み重ねております。
私たちは国内のガイドライン作成や標準治療の開発においても、複数の専門施設と連携して主導的な役割を果たして参りました。現在はさらに、欧州・北米・東アジアの専門施設との共同研究により、世界的なスピード感をもって治療開発を推進しております。
昨今、外科診療には大きなやりがいがある一方で、その責務の重さが負担となる側面もあります。私たちは業務の効率化や働き方改革を推進し、構成員一人ひとりが自ら描く理想のキャリアを尊重し、それを全力で後押しできる組織であるべく、持続可能な修練環境の維持・向上に日々取り組んで参ります。
慶應義塾大学医学部 外科学 教授
松田 諭
慶應義塾大学医学部 外科学 教授
松田 諭


慶應義塾大学病院の上部消化管班では、患者様一人一人に適した医療を提供できるよう食道癌診療ガイドラインの作成や日本臨床腫瘍研究グループ (JCOG)の認定参加施設など、さまざま研究に尽力しています。
