食道と胃のつなぎ目の部分を食道胃接合部と呼びます。ここにできるがんのことを食道胃接合部がんと呼びます。具体的な定義としては、食道胃接合部の上下2cmの範囲にがんの中心部があるものとされています。欧米では比較的多いがんでありますが、日本でも食事の欧米化に伴い近年増加傾向にあります。
以前は、食道胃接合部がんは食道がんまたは胃がんのどちらかに分類されておりましたが、最近では食道胃接合部がんとして独立した疾患として扱われるようになってきました。
食道がんの検査と同様に、上部消化管内視鏡(胃カメラ)、CT検査、PET-CT検査、バリウム造影検査を行い、診断を行います。
食道胃接合部がんは食道がんや胃がんの両方の特徴を持つがんですので、まだわからない点が多いのが現状です。そのため、手術の方法(食道や胃をどこまで切除するかなど)は患者様ごとに最適な方法をとるようにしています。多くは胃の上部と食道下部を切除する噴門側胃切除術+下部食道切除術や、食道がんに対する手術である食道亜全摘術を行います。手術は術式に合わせて胸腔鏡下または腹腔鏡下が選択され、最近では、ロボットを用いた手術も導入しております。
当院での食道胃接合部がんの治療は、外科治療だけでなく化学療法、内視鏡治療、放射線治療といった複数領域での専門チームでの密な連携をとっており、患者様一人一人にあった適切な治療を行っております。
食道胃接合部癌は、その特性上、食道と胃両方の専門知識および診療実績が必要な領域です。当院の上部消化管班は、上部消化管領域すべてを対象として多くの診療実績を伴っており、この領域においてより広い視野で治療を行うことが可能と考えます。
また、最近ではロボット手術も導入されており、より繊細な操作が可能となりました。特に食道と胃をつなぐ再建方法は観音開き法を用いており、手術後の体重減少や逆流症状などの改善につながっています。治療法の発信にも積極的に取り組んでおり、当院を中心として食道胃接合部がんの最適な術式を報告した論文は、現在世界中で参考にされております(下記参照)。
A
B
C
D
E
A. 食道切離
B. 後壁固定
C. 食道残胃吻合
D. 再建終了後
E. 吻合直後の術中内視鏡画像
Doctor Introduction
医師紹介
Surgical Procedure Statistics
手術実績