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Column コラム

食道がん、胃がん手術における手術支援ロボットをもちいた手術

 日本においては、消化器がんに対して、2018年4月に手術支援ロボットが保険承認となりました。食道がん、胃がんに対する手術もその中に含まれ、日本全国の病院で導入が始まりました。今年で8年目をむかえ、より多くの経験が蓄積されることにより、その有用性の検討が進んでいます。
 一般に手術支援ロボットを用いた手術は、3D拡大視効果や関節機能、術者の手振れキャンセル機能などにより、より繊細な手術操作が可能であるとされています。一方で、未だ新しい手技であることから、有効性や安全性に関するまとまった報告は、多くはありません。
 胃がんに対しては、日本国内の多施設からの報告において、すでに一定の安全性や有効性が示されています。食道がんに対しては、2024年春に、台湾と中国のロボット支援手術を多く手掛けている施設から、手術支援ロボットを用いた食道がん手術の、胸腔鏡手術に対する優位性を調べるための研究が行われました。食道がん手術における重要な合併症の1つである術後反回神経麻痺や、がんに対する手術の質の指標であるリンパ節郭清において、一定の有効性が示されました。
 手術支援ロボットと一言にいっても、2025年1月現在、世界中で複数の会社が異なる手術支援ロボットを開発しており、それぞれ特徴が異なります。もしご自身の手術が手術支援ロボットによって行われる場合には、どのロボットなのかなども確認される余地があるかもしれません。
 慶應義塾大学病院では現在、Intuitive surgical社のダビンチ、シスメックス/メディカロイド社のhinotoriの2種類の手術支援ロボットが稼働しています。上部消化管班では、食道がん、胃がん、さらにはその境界領域となる食道胃接合部がんに対する手術において広く用いて、実績を積み重ねております。(手術件数へのリンク)
 今後、それぞれの手術支援ロボットのさらなる性能の向上が見込まれており、手術成績のさらなる安定化と患者さんへの負担軽減につながることが期待されます。

文責 松田 諭

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